日本人という事

 戦後の日本の教育は、根本に、なぜ、なにをを、欠いている。だから、子供に説明ができない。なぜ、何を、欠いているという事は、目的も意味もないという事だ。目的も意味もない教育なんて最悪だ。
 目的を失った最大の理由は、日本が戦争に負けたことだ。建国の理念を失ったと言うより、持てなかった。

 学校教育の本来の目的は、人間として社会の中で生きていく上で必要なことを身に付かせることである。国家の成り立ちや基本的理念。社会人として守らなければならない法や道徳、礼儀。生活していくために必要な知識。世の中の仕組みや制度。そして、何よりも学校教育で大切なことは、人生いかに生きていくかを教えることである。だからこそ師が必要なのである。
 しかし、戦後の日本では、これを教えてはならないことになっている。修身や道徳は、思想教育だから、国家体制はしてはならない。戦前の軍国主義や封建主義につながるというのである。
 そのうえ、実用的な事は、学問ではないという。実用的な事は、社会に出てから学べばいいと考えている。結果的に、成人に達していながら、社会に出る準備のできていない、人間を大量に生み出している。
 それでいながら、礼儀や常識がないと責めるのはお門違いである。自分たちの教育が生みだした結果なのだからである。

 学校の勉強では、教養は身に付かない。
 なぜならば、思想・信条・信念・哲学・倫理・信仰・伝統を学校では教えられないからだ。そして、なによりも、礼節をしつけることができない。これらは、すべての教養の根元であり、核である。戦後の日本では、これらの教育をすることは、軍国主義につながるとして罪悪視すらしてきた。しかし、本当にこれらの事は、軍国主義に結びつくのであろうか。

 日本の伝統的考えの中核は、忠と孝である。
 戦後、占領軍は、日本の伝統文化の中核にあるこの忠と孝を徹底的に否定した。そして、ついでに伝統をも徹底的に破壊した。このことによって、日本の文化は壊滅的に打撃を受けるのである。それが、敗戦である。結果、日本人は、自虐的になり、日本人としての誇りをも失い。物質的な繁栄とは裏腹に堕落していくのである。
 本当に忠や孝は、軍国主義や封建主義に結びついていくのであろうか。思想や宗教は、確かに、国家や体制に歴史的に見て利用されてきた。しかし、それは、必ずしも思想や宗教に問題があるというより、国家や体制が自分たちを守るために、思想や宗教の中で自分たちに、都合のいい部分だけを、自分たちに都合がいいように解釈して悪用してきたというのが実態である。
 むしろ、それは、国家や体制に問題があるのであり、キリスト教やイスラム教、儒教もまた、諸々の思想、哲学も、革命や改革のための理念として、働いたこともあるのである。

 戦争に反対するのも忠である。むしろ、大義のたたない戦争に反対するのは、忠義のもっとも純粋な姿ですらある。

 愛国心も軍国主義に通じるとして否定してしまう。野蛮である。なぜ、愛国心が軍国主義や封建主義につながるのか、その論理的に根拠も明らかにされていない。愛国心が、軍人に利用されたからといって、愛国心そのものを否定するのは筋違いである。愛国心によって革命を起こす者もいれば、改革を目指す者もいるのである。むしろ、愛国心は、国家を革新する原動力である。

 戦前の教育は全否定されてきた。しかし、戦前の教育にもいい面はあった。だからとっいて戦前の教育を全面に肯定しろといっているのではない。オール・オア・ナッシングではなく、取捨選択をすべきなのである。全否定から、すべてを肯定するのではなく。

 人の生きられる時間には限りがある。その限りある人生をいかに有効に使うかが、幸せであるか、否かを決定づける。人生において一番、時間を、使うのは何か。それは、勉強と仕事と家族(育児)である。ところが、戦後の教育というのは、勉強や仕事、家族を否定的にとらえている。勉強はつまらないものであり、仕事はつらく、家族というものはやかいな代物だと前提である。そこから、なるべく、休みを多くして勉強や仕事、家族から遠ざけるという結論が導き出される。しかし、本当に勉強はつまらないものであり、仕事はつらく、家族は厄介なものなのだろうか。私には、勉強や仕事、家族は、幸福の源泉であるように思えてならない。

 子供たちが深刻に悩み苦しんでいる時、正しく導いていくのが真の教育である。最初から、それを放棄しているのでは、教育は、成り立ちはしない。
 戦時中に多くの教え子たちを誤った教育によって戦場に送り出してしまった。だからといって何も教えないと言うのは、最悪である。

 戦後の日本人の自由は、家畜の自由に過ぎない。自分を外的や災害から守る術すら身につけていない。




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