教育の理想を求めて

市場とは


私は、社会は、二つの空間からなっていると思うのです。つまり、共同体の内の世界と外の世界。
内の世界は、道徳的で、統制的で、組織的な世界でこちらが主たる世界。ホームですね。それに対して、外の世界は、化外ですね。市場は化外にある。
自由は、化外にあると思うんです。つまり、化外は、反倫理的で、反統制的、反共同体的、反宗教的な空間だと思うのです。
市場とはそういう空間です。ですから、市場経済が共同体内部に入り込むのは、共同体内部が反倫理的、反統制的、反共同体的空間になるという事ですね。市場経済、自由経済とはそういう事だと思います。
そして、市場は貨幣的取引によって分配され、共同体内部では組織的に分配される。

経済の根本は、市場的分配と共同体的分配(共同体的分配というのは組織的分配)の二つをいかに組み合わせるかですね。共同体的分配の今日的な姿は、企業ですね。企業は、組織内部では、働きに応じて組織的に分配する。この様な共同体内部では、道徳とか、権威とか、タブーとか、掟、礼儀作法、伝統が支配して、非貨幣的世界います。それに対して、市場は、化外、これらの効力が及ばない境界線の外にあるんですね。
だから自由の本質はそこにある。市場経済が、共同体内部を侵食すると何もかもが、お金で支配されるようになる。その典型が家事の外注化ですね。介護の外注化も進んでいる。その結果、家族の崩壊ですね。そのうち、夫婦関係も金で解決するようになるんじゃないですか。総娼婦化ですよね。親の介護も共同体の仕事でなくなり、個人の負担が大きくなれば、お金で解決しようという風潮が強くなる。モラルの問題ではなくなるんですね。モラルではなくて愛情の問題だと、その方がずっときつい。家族の絆とか、結びつきが段々狭くなり。共同体が内に崩壊してしまうんですね。誰も助けてくれなくなる。親戚一同なんて冷たいもんですよ。いざとなったら。相続だって金が絡めば家族をバラバラにしてしまう。




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