教育の理想を求めて

脚下照顧



実際に仕事をする上では、打ち合わせや会議などで結論が出た直後、あるいは、上司から指示、命令が出た直後に何をすべきかがわからないと仕事は始まらない。結論が出た直後、指示が出た直後にとるべき行動が、足下の作業なのである。
ところが、足下の作業というのがわからない。しかし、足下の作業というのは他人に聞きにくい。足下が暗いのである。だから足下がおぼつかなくなり、身動きが取れなくなるのである。

足下を先ず明るくする。
つまり、足下の作業を見極め、足下の作業を決める。
足下にやる事を明らかにする。そうしないといつまでたっても仕事がはかどらないのである。
会議室や打ち合わせ場所を一歩外に出たら何をするかがわからないうちは、会議打ち合わせを終えるな。

仕事を打ち合わせたり、会議をした際、少し先の話は見えたり、遠い話ほど決められる。
しかし、肝心の直後、足下の仕事が決められない。足元の仕事が決められなくなり、死後とそのモモが先送りされ、気が付いたら時間がなくなり、切迫する。
それ故に、我々は詰めは厳しくと話の尻を詰める事が求められた。

話は詰めておかないと仕事は始まらないよと叱られたものである。

足下の事とは、現実的で生々しい事、具体的な事、個別な事、特殊な事、確定的に事である。
それだけに繊細で微妙、詳細な話になる。しかし、話は最終的に足下の仕事まで詰めなければ仕事は、始まらない。足下の仕事とは、とば口にある仕事なのである。

足下の仕事は、仮想的で観念的、仮定的、一般的、普遍的、抽象的な事ではない。ただ足下の仕事の話になる寸前までは、仮定的、仮想的、一般的、抽象的な話になりやすい。
そのために、どうしても仕事の焦点が絞れなくなったり、仕事の細部が不鮮明なったりする。
うちには、支店長という名の支店長はいないよ。課長という名の課長はいない。最後の詰めは、固有名詞で、何月・何日・何時までに何をしなければならないのか、誰に、何時までに何(口頭なのか、文書なのか等)によって報告しなければならないのか、場所は、具体的な名前まで詰めなければならない。
まず足下の仕事を鮮明にイメージする事が大切なのである。

概念や計画設計の段階は、一般的・抽象的な事が中心となるのに対し、実施、特に足下を固める際は、逆に、具体的、固有、特殊な事に置き換えていく必要がある。頭を百八十度切り替える必要が出てくるのである。その切り替えがうまいかどうかで仕事の成否は決まる。

足下の仕事というのは、まずは、次を決める。次を決めないと仕事の目安がつかない。
次というのは、次回いつやるか、それまでに何をやっておくかである。しかし、次というもう少し広い意味でとらえれば、次の節目、ねらい目をどうするかを指してもいい。次が見えれば足下が見えてくる。
また、道筋を追えともいわれた。道筋を追えば、足下が見える。
誰に報告をするかを考えながら、会議・打ち合わせはする。
そうすれば何を聞いたらいいのかの焦点が絞れる。
場合によっては報告書の下鍵を作っておくといい。
会議室から一歩出たら何をしたらいいのかがわからないうちは、会議を散会するな叩き込まれた。結論が出ないうちに散会したら、結論を出さなければならなくなった時に同じメンバーを再度招集する事になる。
会議は、最後の三分間が肝心なのだとも教えられた。最後の三分にどこまで話が詰められるかで会議成否は決まる。
最後の質問としてところで私は何をしたらいいですかを聞く。
その答えがない者は会議に参加する必要のないものである。
例えばとりあえず話だけでも聞いておけというのも答えである。
会議を開いた時、参加者の後ろを見ろ。後ろを見て何もなければ参加させる必要がない。
また、質問に詰まったら、参加している者の後ろを見れば何を聞いたらいいかわかる。

考えるな、頭を使うなとも…。
理屈で考えるのではなく。仕事で考える。動作、作業、行為として表せなければ仕事にはならない。ただ、やるべき事を口に出せなければ実行できないとも言われた。

今仕事ができない、はかどらないのは足下の仕事が読めないからである。


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