教育の理想を求めて

仕事を始めるにあたって



責任者に指名されたものは、自分の立場を明確にする。責任者を指名するのは基本的にオーナー。まあ、麻雀でいう親だな。
自分の立場を明らかにするというのは、関係者を集めて開始を宣言し、以後自分の指示に従うよう宣言する事を意味する。ただそれだけ。すべてのゲームはコールによってはじまり、コールによって終わる。始まりの宣言をコールし、自分の立場をコールする。それからゲームは始まる。これが形。
ゲームを支配しているのは、監督ではなく、審判だという事を忘れるなよ。
だから、審判は、速やかに判定をして明確にコールする。毅然としてコールする。
スポーツをイメージすればわかると思うよ。
責任者というのは、基本的にまとめ役。自分に余力があれば、プレーヤーも兼ねる。全体に余力がない場合もプレーヤーを兼ねる。

次に役割分担を決める。
役割分担は、一人ひとりの適正、経験、技能、能力などを参考に決める。
適正は、俗にボールを投げさせてみればわかる。ボールを投げさせてみて、守備位置を決める。守備位置や打順に軽重はつけない。軽重は、組織における働きによってつける。
それは監督の思想。

チームの原型は、二人の場合は、責任者、担当者。チーフと事務局。三人になると、チーフ、会計、事務。あるいは、チーフ、企画、事務等の形がある。まあどういう形にするかは、責任者がオーナーと相談のうえ決める。

次に基本的な考え方、方針を決める。
基本的考え方というのは原則を言う。
方針というのは、方向性や指針を言う。
基本的考え方で、何が主で何が従かを定める。
誰がキーを握っているかを見極める。

取り決めや約束事は、最初に決める。麻雀でレートや、役、ローカルルールは最初に取り決めておくか、確認するのと同じ。試合が始まってあるいは、試合が終わった後にレートは決められない。

新規事業に関しては、相手が主で、うちが従。
なぜならば事業の根幹となるビジネスモデルのプラットホームは、先方にある。このが第一点。第二に、先方には、変更の余地が少ないが、当方には、変更の余地が多い。つまり、当方が相手に原則合わせる。

着手時点は、すなわち、起点は、先方から第一回目の説明があった直後。
つまり、相手のビジネスモデルが示された直後に相手から聞き取った内容、ビジネスモデルを再現し、相手に確認のうえ、トップに報告した時点から時間をカウントする。
例えば、八月に第一回の説明があったとして、十月の時点、それをトップに報告の上トップの承認を正式に受けていなければ、単純に一か月半から二か月程度の遅れが生じているとみなされる。一か月の初期の作業遅れは、重大なミスに通じるし、信用問題を引き起こす危険性がある。速やかに先方に、先方より聞きとってこちらが整理した内容に間違いがないか、確認をとったうえこちらまでを報告し、正式に承認をとるよう。時間の遅れは、責任者が責任をもって解消するよう努める。

相手から聞き取ったビジネスモデルを当方で再構築する。相手の言っている事を要領よくまとめて先方に確認する事から始める。
担当者が言っている事は、基本的に相手の言っていることを受けて構築しているはずだから、作業として後回しにしても基本的に差し支えないはずだし、それができない場合は、先方の提案を正しく理解してないはずだから、その時点でチェックできる。
先方の言っているビジネスモデルが再現できたら、今度はそれに自分たちの考えを加味して再構築する。この過程で相手の考えを組織的に取り込む。

先方の話をしたものは、帰社したら速やかに先方の考え方を箇条書きにして、要点をまとめる。まとめる事で相手の説明を自分なりに再現し、必要に応じて先方に確認をしたうえで、上司に報告をする。上司は、それを関係者に説明をし、了承を得る。それらの手続きによって先方のビジネスモデルをそー社内の関係者は共有化していく。そのために、報告、確認、上申、決定、承認、指示という過程を繰り返す。この繰り返しが重要なのであってこの繰り返す回数で大体理解度の検討をつける。

よくある間違いは、担当者は、自分が理解すれば終わりだと錯覚する事にある。
考えをチームに共有させることが目的なのであり、自分だけわかっていても意味がない。場合によっては障害にすらなる。トップだけが理解している企画程たちが悪いものはない。
組織的に共有させるためにはプロセスが大事なのである。

確認、報告、決定、承認、指示この流れを順守するように。必ず必ず、先方と打ち合わせたら、報告し、指示を仰ぐよう。報告を受けた者は、速やかに次の作業を指示する事。自分が指示できない時は、上司の助言を求める。

思いついた時に気まぐれに報告をしていたら、仕事は細切れで断面の寄せ集めになってしまう。報告は積み重ねる事によって仕事の基礎を塗り固めていくものなのである。

事業計画は、事業計画を立てる過程で、事業計画を共有する事が目的なのであって、事業計画を作ることそのものが目的ではない。事業計画書は、事業計画書を組織的に作る事によって準備作業を具現化、見える化する事であって事業計画書を作成する事が目的ではない。
事業計画書そのものは、一般に流通しているテンプレートに沿って作れば経験のある者なら半日程度で作成できる。しかし、その場合は、事業計画や準備を組織的に進めることはできなくなる。

また、方針としては、特定の教科書を定めて、その教科書にそって仕事を進める。
その理由としては、計画を一通りマスターするためには、一つの単位仕事を実際の作業を通して一巡する必要がある。しかし、そのためには、仕事の全容を理解している者が主導する必要がある。また、スタッフ全員が一定の段取り、手順を共有している必要がある。今回は、そのような経験者がいない事を前提としているため、一定の教科書を定めて、それを先ず踏襲する事で代替えする。その場合、その教科書というのは、なるべく簡易で全員が理解できる程度の者がいい。

最初の段階では、完成度を求めない。三割程度の理解度でいい。共同で事業計画を立てるのが目的で、相手の言っている事を百%、(ありえないけれどなぜなら相手の完成度も低いから・・・。)理解する事を求めた瞬間、全ての作業が膠着してしまうし、百パーセント理解する必要がない。また、理解したら困る。基本的にチームの足取りと同じ速度化、一歩先を行く程度が最適。
手順、段取りは、無意味だという事を覚えておく。手順、段取りは、絵をかくときの下書きに過ぎない。下書きには色を付けない。いきなり白地のキャンパスに絵の具を落とすなという事。そうすると構図を決められないし、修正ができなくなる。できても後々厄介。

この時点ではいくつかのキーワードに注目する程度でいい。

気を付けなければならないのは、慣れない人間いきなり尻に行ったり、個別の問題、俗に目の前の事を掴みにする。そうすると全体像が見えなくなる。

仕事には、序盤、中盤、終盤の形があるから、ある程度詰め形は意識する必要があるけれどだからと言って個々の局面に囚われてはならない。まあ、麻雀でいえばあがり手は考えておけという事。そうしないとフリテンをこいたり、リーチするしか上がれなくなる。降りる事も難しくなる。

四月に考える事は四月に、十月に考える事は十月に考える。

単位仕事は一巡させることで覚える。そのためには、コンパクトで短期間にできる仕事、まあ、我々の時は、花見とか宴会とかを設定してやることで実地教育をした。また、小手調べをした。
ところが現在は、この事の意味を理解している人がいなくなったために、余計な仕事をさせられている程度にしか受け取られなくなった。そのために、チームワークを教えられなくなってしまっている。

先達たちは、意識して我々を遊びを通じて教育をしてくれた。ところが我々以降の人間は、遊びは遊び、教育は教育、仕事は仕事と妙な割り切り方をしている。だから仕事が身につかないのである。

確かにお付き合いというのはしんどいものです。それでもなお付き合わされたというのは、付き合いを通じていろいろな事を教えてもらったからです。突き合せる側にもそれなりの心の準備があった。
でも昨今は、付き合うという意味が変わってきてしまった気がします。
お付き合いというのは、お付き合いによって職場の人間関係や基本的なマナーを実地教育する場だという暗黙の了解があったのですが、付き合う側の方が一方的に負担をかけられているとされてしまった。でも実際は、連れまわした先輩たちは、費用を負担したり貴重な時間を割いて指導をしてくれているという思いが付き合わされる側にもあったものです。

普段日常から、遊びを通じて仕事のやり方を教育するという発想ができないのである。

仕事というのは、一度始めたら余程の事がない限り最後までやり抜く。その覚悟なければ、仕事は始められない。


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