教育理想を求めて
基 本
どんないい考えても実際の仕事に置き換える事が出来なければ、実現する事はできない。夢や理想を実現しようと思えば、実際の仕事に落とさなければならない。仕事にする事ができなければ、夢は夢、理想は理想で終わってしまう。
考えを実際の仕事に落とそうとすれば、やらなければならない作業を洗い出し、地道な作業に置き換えていかなければならない。それも、漏れなく、重複なく、全て作業を洗い出し、それを手順よく並べて、手順に従って、一つひとつ実行していかなければゴールに辿り着くことはできない。
それが、基本ができていない人は、死ぬ程、厭なんですね。厭だからなるべく楽をしようとする。しかも、日本全体にこの傾向が横溢し始めている。その為に組織が機能しなくなり始めている。
かつて日本人は、集団行動組織的な仕事が得意だとされた。しかし、それも今は昔となりつつある。
この基本が解らない人は、組織的な仕事ができないし、指導者にもなれない。
機械化が進んだことである程度は機械に代行してもらうことができるし、処理速度も速めることはできる。しかし、仕事の段取り手順の基本に変わりはない。機械化が進んだことで、段取りや手順が解らない人間が増えている。
我々の責任なんですよ。僕は三十年前から警告してきたんですか。いつか、日本の会社は機能不全に陥ると。だからMTPだと言ったんです。それは、基本ですね。
経理で言えば簿記。総務で言えば事務。電算で言えば、プログラミング。
管理職で言えば指示命令の出し方、報告の聴き方。
コンピューターが発達した結果、簿記だって仕訳だって解らなくても会計処理はできる。データを入力したら後は結果を自動的に出してくれる。しかし、これが曲者で過程が見えなくなる。事務手続きも形骸化したら意味がなくなる。なぜ、わざわざ人の手を掛けて事務処理をしなければならないという理由が理解できない。一人でできる事は一人でやれば良いと思い込んでいる。そうなると組織は自然に破綻してしまう。しかし、組織が破綻していることさえ気がつかない。気がついて見たら働いているのはごく一部の人間で、しかも、その働いている者が報われない組織になっている。そうなると組織が腐敗し、不正が横行する様になるのは時間の問題である。体制できあがれば、組織として破綻していても仕事は回るのである。
実際に変革をしようと思ったら計画的に組織的に仕事をしなければ効果は期待できない。
ちょっとした変革も最低一年計画になる。本格的にやろうと思えば三年計画になる。
一年を実稼働日二百日とすれば、一日一人三工程として一人六百工程それが平均一日六人工としても三千六百以上の工数がある。しかも全体的な変革となれば、社員全員が何らかの形で係わってくる。つまりは社員の数だけ工数がかかる。それを全て、重複なく、漏れなく洗い出してそれを一定の原則に基づいて組み立てる。これが、自分の後輩達は、できない。
僕らは、徒弟制度的に仕事の段取りの付け方なんてたたき込まれてきた。
作法とか、礼と言った形式によってです。でもその形式の悉くを我々の先輩や同期の連中は壊してしまった。だから、後輩達は、仕事の段取りを付けたり、根回しをする事ができない。つまりはチームワークができない。組織的に仕事をする事ができない。
今は、かろうじて定型的な部分で企業は回っている。だが、何か新しいことをしようとしたり変革しようとしたらその時点で、組織は、機能不全に陥ってしまう。だから何も変わらない。現場というのは、一見単純に見えますが、地道な作業の積み重ねて成り立っているんですね。変革は、その一つひとつの作業を検証し組み直すことを意味している。そして、改めて指示し直すことから始めなければならない。そうしなければ、組織的には、何も変わらない。
計画ができてもそれを実行に移そうと思ったら指示命令をしなければならない。また、適時報告もしなければならない。しかし、何時、誰に、どの様に指示を出していいのか、また、いつ、誰に、とのように、何を報告したらいいのかが解らないから、組織は、組織の仕事として認識せず、起動しない。
実務が理解できるのは、団塊の世代までですよ。自分の同期の人間と話しても何処まで理解しているのか疑問ですね。そうなると、解る人間はやるけれど、解らない人間はただ言われたとおりのことしかできない。解る人間がいなくなると言われたこともできなくなる。この状態が急速に拡大しているんですね。この状態は、組織が破綻した状態である。
でも打ち合わせた後何をしていいか解らないから直前まで何もしない。結局、次の打ち合わせをしても唖然とする程何もやっていないで、言い訳ばかりするという事になるんです。面白いことにそうなると又、精神論が台頭してくる。でも基本ができていないから、精神論では、一時的な効果しか望めない。基本は、コツコツ教え続けるしかない。
時間が立つのは怖いものです。変化は、幾何級数的。緩やかな変化だと油断していると気がついたら大きな変化になってしまっている。
一つの問題を解決したと思ったら時間が立つと違う歪みが出てくる。しかも、解決策が、次の禍根だったりもする。歪みを直したつまりが、その歪みを直したところから、違う歪みが生じたりする。最初は小さな歪みが幾何級数的に拡大したりもする。だから、僕は、絶え間ない革新が必要だと思うのです。嗚呼もうこれで良いと思った時から破局は始まる。そんものです。
肝心なのは、仕組み作りなんですよ。頑張っている人が報われる様な仕組みを如何に構築するかなんです。そして、粗の組織を絶え間なく更新し続ける必要がある。時間は、無情なんです。今よくてもすぐに陳腐化し、効率が悪くなる。
一度体制ができあがったら、経営者というのは何もしなくてもいいという気がするんですね。楽したくなる。でも、それが大きな間違いなんです。一つの変革が終わったら、次の変革に向けて仕事を始めないと間に合わなくなる。それが成長なんです。常に成長し続けないと遅れてしまう。
もうこれで良いと思ったら引き際だと言った経営者を何人も見てきました。
経営者が目立つようでは駄目です。経営者は、黒子なんです。経営者が目立つようになってきたら、引退を考えるべき時が近づいている証拠ですよ。
組合を毛嫌いしている経営者もいるが、組合にも組合の役割がある。そう割り切れなければ経営者はできない。
上に立っているとどうしても下が見えなくなる。その意味で、組合は組合で社員の権利や生活を守るという事を容認しないと、いくら、何でも言っていいといたところで限界がある事を悟る必要がある。
変革と言っても地道な努力を積み重ねていくしかないといっているだけ。
会社を良くしたいという思いが同じなら話せば解ってくれる。
僕が会社の行く末について何も話していないと言う人もいますが、僕は毎日、皆の会社にしよう、だから自分の希望を話してごらんと話しているんです。
それは、僕が夢を語っていないという人にとって思想ではないんですね。
彼等にとって会社の理想というのは十年後には社員を何人にして、売上をどれくらいにするという事なんですね。
自分は、会社を何十年もやって来て自分の思い通りに行かない事を痛い程知っている。
もう駄目だというような状況を何度も乗り越えてきたのですから。頼りにしていた部下に死なれ。信じていた部下に裏着られ。あてにしていた事が外れる。
だから、社員が一致団結して事に当たれる体制を作る事が、僕の理想なんです。
会社が大きくなるのも収益が大きくなるのも結果でしかないんですよ。そういつも話しているんですが、それは思想ではないと言うんですね。
何を護るべきかが大切なんだと思います。
いざとなった時、肝心なのは要となる人材だけど、そう簡単に見つかるものではない。むしろそういう出会いは、運命的なものですよね。結婚相手を見つけるよれも難しい。人は長い間に変わるのです。経営者なら人間不信に陥るようなことに一度や二度遭遇するものです。それでも、事を信じ続ける必要がある。問題は誰を信じるかですけれど。例え騙されたとしても騙された自分が悪いと思うしか許されないですね。
力あるだけではなく、利害を超えた信頼関係がなければならない。
この信頼関係が難しい。やっと出会えたと思っても病死されたり、信頼を裏切られたり。長い間、同じ信頼関係を保つ事は至難の業である。だから、出会いが大切なんです。
何度も何度も会社を投げ出したくなる時があるんですが、そんな時、辛いのは自分だけではない、こんな時でも自分を信じて会社を護っている社員がいると気がついたんです。自分が護らなければならないのは、そうやって目に見えないところで、頑張っている社員や家族なのだと思ってやって来ました。
組織には何をやっても駄目な人間はいる。しかし、ただ、駄目だからと斬り捨ててしまったら組織は成り立たない。組織は社会の縮図なのである。優秀な人間ばかりを集めても駄目な人間は現れるのである。
自分より力がある者は、それを認めなければ言う事を聞かなくなるし、自分より劣った者は、上手く指導しないと臍を曲げる。
組織は、自分より優れた者や劣った者の集まりなのである。
一人の人間としても自分より優れた部分、劣った部分があるのであるから、互いに相手を尊重しようとする精神を失ったら組織は破綻してしまう。指導者にはなれないのである。。
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