馴れ


馴れ



人は、良い事は麻痺しないが、悪い事には麻痺する。
人は、厭な思いや、ミスもいつの間にか馴れて麻痺する傾向がある。叱られる事にも、最初は堪えるけれど、馴れてしまい、気にならなくなる。終いには開き直って逆恨みするのがオチである。
悪い事も最初は罪の意識が働くがいつの間にか罪の意識も消え失せ、なんだかんだ理屈を付けて自分を正当化してしまう。
つまり、自分が悪いという状態にいつまでも自分を置いておく事ができないからである。だから、世間が悪い、あいつが悪いと社会や他人の性にして自分を正当化する。しかし、それが怖いのである。
最初は出来心でやった事、軽い気持ちでやった事で深みにはまり抜け出せなくなる。
一円、二円だったのが何千、何万になりやがて途方もない金額になる。
最初ついた嘘が、嘘を誤魔化すために、嘘をつき、最後には何もかもが嘘になってしまう。
自分は駄目人間だと諦めてしまえば楽になる。ええどうせ私は駄目人間ですよと開き直れば悩まなくてすむ。しかし、お仕舞いである。誰も自分を認めなくなり、信用もなくなる。友達もいなくなる。
何かをしたくても誰も助けてくれなくなる。
一人でやれる事などたかがしれている。大体、人間一人では生きていけないのである。
俺は駄目な人間だと諦めたら先がなくなってしまう。だから、皆、歯を食いしばり頑張って生きているのである。それを忘れてはならない。



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