手順、手筋にそって覚える


物事には筋がある。
物事には順番がある。
我々は、筋を通せ。筋の通らない事はしてはならないと厳しく躾けられた。
又、物事には順番がある。順序を間違えるなとも厳しく言われた。
今は、この筋や順序が軽んじられている。
軽んじられているところか、死語になりつつある。
筋が通らなくなり、順序が守られなくなったから美学がなくなりつつあるのである。
筋とは筋道である。
筋道とは、論理である。
一貫した論理である。
筋道は、その人その人の立場や役割によって違ってくる。
一人一人が自分の立場、役割に基づいてそれぞれの責任を果たせという事である。
逆に、責任や権限のない者が決定をしたり、指示を出すのは筋違いである。
責任のない者が謝ったり、罰せられるのは筋が違うという事である。
筋を守るという事は、責任の所在を明らかにするという事をも意味する。

筋には、順番もつきものである。
一見、筋が通っているように見える事でも順番を間違えれば筋が通らなくなる。

組織に於いては、この筋や順番が基本となる。
筋道に従って枠組みを作り、段取り組むのである。
その上で、手順、手筋に沿って物事は決められ、実行されていく。

だからこそ筋や順序は基本なのである。
この筋や順序は、経験的に覚えていくしかない。
なぜならば、前提条件によって筋や順序に微妙な変化が生じるからである。
将棋や碁で言えば、筋や順序は定石のような事である。
将棋や囲碁が差し手や局面によって千差万別であるように筋や順序も指導者や責任者、環境や局面によって微妙に変わってくる。故に、絶対的という事はない。相対的な事なのである。
この点を誤解してはならない。

仕事は手筋、手順、段取りで覚える。
将棋や囲碁が定石のように局面局面の形を順序よく覚えるようにである。
これも数学的論理の一つの形である。

ここのパーツ、部分(例えば、会議の開き方とか、決済の仕方等)には、手筋、手順、段取りの形がある。それを経験的に覚えるのである。

一つ一つの作業には、前後の作業、即ち、前作業、後作業がある。作業の前後には、一定の決まりがある。
又、個々の作業には、時間、場所、人、金、目的といった複数の要件がある。そして、すべての要件が前後の作業に連結している。
このような作業を順序よく組織的に組み立てるのが指導者なのである。
指導者は、作業全体を仕切り、組織全体を差配する必要がある。
その一つ一つが決断につながる。

故に、手筋、手順、段取り、枠組みの規則を事前に習得しておく必要があるのである。
このようなことは、経験的な体得させる以外にない。だから、日本では徒弟制度によって親方から職人、徒弟へと、番頭から丁稚、丁稚から小僧へと一対一に伝承してきたのである。
その徒弟制度を短絡的に封建的と否定してしまった。
そして、学校教育を総てとし、座学、試験だけで教育を自己完結的なものにしてしまったのである。
その結果、手順、手筋が失われた。
それが、今日の社会、組織の衰退の根っ子にある。

修行という概念があらゆる社会の局面から排除されつつあるのである。

仕事は、手筋、手順で記憶する。
ここのイベントや作業単独では覚えられないのである。
そのことを肝に銘じておく筆がある。

そして、筋や順序は行動規範なのである。
なぜならば、仕事の段取り順序を間違えると事故につながるからである。
身の安全を守る意味でも筋道や手順を堅く守る必要がある。

だからこそ、我々の父や先輩は厳しく筋や順序を躾たのである。
父母の愛を忘れてはならない。
それが日本である。

また、物事の決断も筋に従い、順序を守らなければ適切な判断が付かない。
意志決定こそ筋道、順番が大事なのである。

それが仕来りである。

筋道、手順が分かっていれば、最初だけ丁寧に打ち合わせ、後は、筋道に従って手順よくやればいい。故に、手際よく仕事を処理することができるのである。
手順、手筋をおろそかにすれば大事故、大惨事につながる。
筋道手順は誰にでも習得できるように要領よくできている。
それが肝心なのである。
だから組織的に活用できる。





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